ブログ
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括弧の中に、好きと書いてあった。
社内報の原稿に、空いた欄が一つ残っている。「趣味」。 前の号を開いてみる。ゴルフ、キャンプ、パン作り。スコアが九十を切りました、と書いている人もいる。 ビリヤー…
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写真の中で、ちゃんと笑っていた。
写真 「送別会の写真、上げときます」グループのトークに、十二枚。 一枚ずつ、めくっていく。主役の先輩が、花束を抱えている。その隣で、自分が笑っている。口を大きく…
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転生したら手球だった件 第5話「俺が、最初から転がった日」
プロローグ 閉店まで、あと一時間。奥の台で、常連のおじさんが「よっしゃ」と言った。今夜は、もう六回目だ。 俺——玉野想(30歳・童貞・万年B級・現在手球)は、手…
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どの試合も、一から始まる。——2026 グランプリイースト第5戦。
「毎回毎回ちゃんとリセットして一からやろうと。」 十月十一日、埼玉の志木。JPBAの東日本の男子プロツアー、グランプリイーストの第5戦で、小川徳郎が優勝した。こ…
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空けたところに、水がたまる。
横浜市は、山梨県に森を持っている。道志村という、山あいの村。村の広さの、三分の一あまりが、横浜の水道の森だ。 大正五年に、山梨県から譲り受けた。それから百年あま…
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拾ったのは、誰かが外した玉だった。
ひとーつ。ふたーつ。 窓の外から、声がそろって聞こえてくる。祝日の朝。近くの小学校の校庭で、町内の運動会をやっているらしい。マイクの声が少し割れて、拍手がまばら…
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着地するたびに、手球は前へ回りはじめる。——ジャンプの止め・引き・押し。
障害の球を跳び越えて、的球を沈める。そこまでは、ずっと前からある光景だ。いまのトッププロは、その先まで決めてくる。跳び越えた手球を止め、引き戻し、押して、次の球…
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用意していた言葉は、使わなかった。
会議室の時計が、十時を少し過ぎている。 課長が、来月の展示会の段取りを話している。受付の机を、どこに置くか。 言えることが、一つあった。去年、入口の正面に置いた…
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長く貼るほど、いいと思っていた。
二話め 画面の中で、二人が一本の傘の下に立っている。字幕が、台詞より少し遅れて出る。 エンディングが流れはじめたところで、袋の封を切った。シートマスクを広げて、…
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転生したら手球だった件 第4話「俺が、一度止まった日」
プロローグ 扉が開いた。夜の冷えた空気と一緒に、足音が二つ入ってくる。 お姉さんと、お兄さん。……一緒に、だと。 俺——玉野想(30歳・童貞・万年B級・現在手球…
