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障害の球を跳び越えて、的球を沈める。
そこまでは、ずっと前からある光景だ。
いまのトッププロは、その先まで決めてくる。
跳び越えた手球を止め、引き戻し、押して、次の球の前へ運ぶ。
ジャンプは、球を跳ばす技術だと思われてきた。
けれど、手球の回転にとっては、跳ぶことより、降りることのほうが大きな出来事らしい。
アメリカのビリヤード誌『Billiards Digest』で、物理の視点から連載を続けている Dr. Dave(デビッド・アルシアトーレ、コロラド州立大学の機械工学の名誉教授)は、ジェレマイア・ゲイジとともに、スマートフォンのスロー撮影で、ジャンプのあとの手球を何本も撮っている。
2015年9月号の記事と、2009年7月号の記事から、ジャンプの止め・引き・押しをたどってみる。
空の上では、回転は減らない
ジャンプの手球は、まず台に向かって撞き下ろされる。
一度ラシャに押しつけられてから、宙へ跳ね上がる。
宙にいるあいだ、手球の回転は、ほとんど減らない。
擦れる相手が、何もないからだ。
回転が変わるのは、台に触れる一瞬だけ。
最初に撞き下ろされたときと、そのあと着地するたびに。
着地のたびに、前へ回る
着地の瞬間、手球の下の点は、ラシャの上を前へ滑っている。
ラシャはそれを止めようとして、後ろへ引く。
その力が、手球を前へ回す向きに働く。
引きの回転を抱えた手球は、着地するたびに、その回転を少しずつ削られる。
何度も跳ねれば、引きは消え、やがて押しの回転に変わっていく。
前へ転がる回転に追いつけば、そこで変わらなくなる。
Dr. Dave は、跳ねるたびに手球が押しの回転を「拾う」と書いている。
引きを抱えていれば、拾ったぶんだけ、引きが減っていく。
止め、引き、押し
だから、ジャンプの撞点は、ラシャの上を走る球の感覚とずれる。
止めたいとき。
着地で拾う押しの回転を打ち消すぶん、真ん中より下を撞く。
キューを高く立てるほど、思ったより下を。
撞き下ろされて台にぶつかる、最初の一撃で、引きの回転のほとんどが失われるという。
引きたいとき。
しっかり下を撞いたうえで、的球までに何度も跳ねさせない。
高く跳ばすなら、着地は一度まで。
いちばん引けるのは、一度も着地せずに、宙のまま的球に当たるときだという。
押したいとき。
低いジャンプなら、真ん中か、少し下。
高く短く跳ばして押したいときも、撞くのは真ん中より下だ。
高い角度で上を撞けば、手球はタップと台のあいだに挟まれて、跳ばない。
押しの回転は、着地が与えてくれる。
ただ、宙のまま的球に当たると、的球は狙ったより薄く切れて出ていく。
浮いた手球は、ラシャの上を走る球より少し奥まで進んでから、的球の上のほうに触れる。
そのぶん、二つの中心を結ぶ線が、横へ傾くからだ。
だから、宙で当てるときは、少し厚めに狙う。
引きがいちばん効く当て方は、狙いがずれやすい当て方でもある。
着地の音
撞いた瞬間に決まっているのは、跳ねる高さと、最初の回転まで。
そこから先は、何度、台に触れるかで決まっていく。
次に跳ばすとき、着地の音を数えてみる。
出典
- Dr. Dave Alciatore, “Jump Stun/Draw/Follow,” Billiards Digest, September 2015. https://drdavepoolinfo.com/bd_articles/2015/sept15.pdf
- Dr. Dave Alciatore, “Draw Shot Physics – Part IV: cue elevation effects,” Billiards Digest, July 2009. https://drdavepoolinfo.com/bd_articles/2009/july09.pdf
- 実演動画 NV F.3「Pool stun/draw/follow jump shots at various cue elevations, with smartphone slo-mo」 https://drdavepoolinfo.com/normal-video/nv-f-3/
- Dr. Dave Pool Info「Jump Shot Over-Cut」 https://drdavepoolinfo.com/faq/jump/over-cut/
- Dr. Dave Pool Info「Jump Shot Cue Elevation Effects」 https://drdavepoolinfo.com/faq/jump/cue-elevation/
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