ビリヤードのすゝめ
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数式を知らなくても、球は転がっていた。
アトラスは、天空を支えている。 両腕で、世界の重さを引き受けている。 「なぜ、空は落ちてこないのか。」 古代の人々は、この問いに数式で答えなかった。 代わりに、…
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テーブルの上の、キュビスム。
ピカソは、正面から見た顔と横から見た顔を、一枚の絵に描いた。 それまでの絵画は、一つの視点から世界を切り取っていた。 ピカソはそのルールを壊した。 同時に存在す…
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続かなかったのは、美容液のせいじゃなかった。
洗面台の棚に、使いかけの美容液が3本ある。 どれも、最初の1週間は毎日使っていた。 2週目から、忘れる日が出てきた。 3週目には、もう手に取らなくなっていた。 …
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この街は、全部を知っている。
関内駅を出ると、空気が二つに分かれる。 東へ歩けば、馬車道。 石畳とガス灯の並ぶ通り。 日本大通りの銀杏並木が、風に揺れている。 県庁の重厚な壁。 開港記念会館…
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下手な自分が、恥ずかしかった。
夜中だった。 布団の中で、スマホを開いていた。 おすすめに流れてきた動画を、なんとなくタップした。 ギターを弾いている人がいた。 指が、弦の上を信じられない速さ…
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ハマっこは、知らないものに手を伸ばす。
横浜には、昔からこんな言い方がある。 「3日住めば、ハマっこ」。 生まれも育ちも関係ない。 昨日来た人でも、この街を好きになったら、もうハマっこ。 排他的な街で…
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なんだか、かっこよかった。
金曜の夜だった。 仕事終わりに、いつもの店で飲んでいた。 生ビールが2杯目に差しかかった頃、友人が急に言い出した。 「明日さ、ビリヤードの試合観に行かない?」 …
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甘いものをやめたのに、肌が変わらなかった。
甘いものを、やめた。 チョコレートも、アイスも、コンビニのスイーツも。 がんばって我慢した。 最初の1週間は、つらかった。 2週目から、少し慣れた。 3週目には…
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同じ問題集を、3周した。それでも、模試の点は伸びなかった。
解ける。家で解けば、解ける。 同じ問題集を3周もやった。正答率は上がった。 ページをめくるたびに、「あ、これ知ってる」と思える問題が増えていった。 手応えはあっ…
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横浜の夏は、終わらない気がした。
朝から、空が重かった。 入道雲が、遠くの海の向こうに積み上がっていた。 湿った風が、山下公園の木々を揺らしていた。 Tシャツが、肌に張り付いた。 それでも、出か…
