ビリヤードのすゝめ
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自分の手で、やるしかなかった。
不快なことは、できるだけ遠ざけたい。 それは、たぶん誰でもそうだと思う。 暑ければエアコンをつける。 面倒な手続きは代行してもらう。 言いにくいことは、メッセー…
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テーブルの上で、脳が動いている。
その人は、じっとテーブルを見ていた。 腕を組んで、少し首をかしげて、球の配置を見渡している。 何秒だろう。 10秒か、15秒か。 やがて、ゆっくりとテーブルの反…
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観た後、なぜか構え方が変わっていた。
配信を、なんとなく開いた。 友人が「面白いから観てみて」と送ってきたリンクだった。 ビリヤードの試合。 正直、あまり期待していなかった。 でも、少しだけ観るつも…
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何も起きなかった、いい一日だった。
目が覚めた。カーテンの隙間から、白い光が細く差し込んでいた。 まだ誰も起きていない。 布団の中で、しばらくそのまま天井を見ていた。 起き上がって、キッチンへ行く…
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あの日、横浜は燃えた。それでも、この街は立ち上がった。
1923年9月1日、午前11時58分。 横浜の街が、揺れた。 昼食の支度をしていた家々から、一斉に火が上がった。 わずか10平方キロメートルの市街地で、177か…
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なぜか、また来てしまった。
一回だけのつもりだった。 友人に誘われて、なんとなく行った。 キューの握り方もわからなかった。 ほとんど入らなかった。 なのに、翌週また来ていた。 誰に誘われた…
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指先まで意識したのは、久しぶりだった。
猫背だと、よく言われた。 デスクの前では、気づくと肩が前に出ている。 スマホを見ている時は、首が下がっている。 わかっている。 わかっているけど、気づいた時には…
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数式を知らなくても、球は転がっていた。
アトラスは、天空を支えている。 両腕で、世界の重さを引き受けている。 「なぜ、空は落ちてこないのか。」 古代の人々は、この問いに数式で答えなかった。 代わりに、…
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テーブルの上の、キュビスム。
ピカソは、正面から見た顔と横から見た顔を、一枚の絵に描いた。 それまでの絵画は、一つの視点から世界を切り取っていた。 ピカソはそのルールを壊した。 同時に存在す…
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続かなかったのは、美容液のせいじゃなかった。
洗面台の棚に、使いかけの美容液が3本ある。 どれも、最初の1週間は毎日使っていた。 2週目から、忘れる日が出てきた。 3週目には、もう手に取らなくなっていた。 …
