ビリヤードのすゝめ
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横浜の夏は、終わらない気がした。
朝から、空が重かった。 入道雲が、遠くの海の向こうに積み上がっていた。 湿った風が、山下公園の木々を揺らしていた。 Tシャツが、肌に張り付いた。 それでも、出か…
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褒められたのに、なんだか悔しかった。
取引先の女性に、「お肌綺麗ですね」と言われた。 ありがとうございます、と答えた。 でも、なんだかすっきりしなかった。 その人の肌を見た瞬間、その言葉を素直に受け…
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時間が、消えていた。
デスクに、資料が積まれていた。 締切は明後日。 会議が3つ入った。 メールは返せていない。 どこから手をつければいいのかわからないまま、また別のタスクが降ってき…
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まだ誰も知らなかった夜、横浜で。
1853年、7月。 横浜の景色は、大きく変わり始めようとしていた。 砂州の広がる、静かな半島の村に、突然黒船が現れた。 約100戸、500人ほどが農業と漁業でひ…
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今日しか、できないことがある。
また、後回しにした。 メールの返信。 読みかけの本。 ずっと気になっていた電話。 「明日やろう」と思って、また今日が終わっていく。 試合が来週に迫っていた。 で…
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好きなものと過ごす、時間のこと。
日曜日の朝だった。 カーテンから、白い光が差し込んでいた。 雨上がりの空気が、窓の隙間からほんのり漂ってくる。 外は静かだった。 冷蔵庫から豆を取り出した。 コ…
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必死に、生きていますか。
何かが、違う気がした。 上司の言葉が、腑に落ちなかった。 会議室で、黙って頷いた。 帰り道、ため息をついた。 間違っているのは、自分なのだろうか。 学生でも、社…
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老いていく。それでも、伸びしろしかない。
夜の福富町。 灯りがにじんでいた。 グラスを傾けながら、ふと思った。 いつの間に、こんな歳になったんだろう。 出会った人たちの顔が、浮かんでくる。 教えてくれた…
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波のない日には、波のない日の楽しみがある。——ビリヤード場という居場所。
朝から、海は凪いでいた。 それでも、ボードにまたがって沖へ出た。 波はない。 ただ、海が揺れている。 ボードごと、ゆっくりと上下する。 潮の香りが、鼻をくすぐる…
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趣味って、——何のためにあるんだろう。
友人がカメラを買った。 最初は旅先で使う程度だと言っていた。 でも気づいたら、週末になると朝早く起きて、あてもなく街に出ている。 先日、その友人と歩いていたら、…
