知性×ビリヤード
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最後の朝だけ、晴れていた。
三日分の写真 旅行の写真が、まだ整理できていない。三日間で、二百枚あまり。 高校のころの友人と四人で、海沿いの町へ行った。何年も前から、いつか行こうと言っていた…
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括弧の中に、好きと書いてあった。
社内報の原稿に、空いた欄が一つ残っている。「趣味」。 前の号を開いてみる。ゴルフ、キャンプ、パン作り。スコアが九十を切りました、と書いている人もいる。 ビリヤー…
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用意していた言葉は、使わなかった。
会議室の時計が、十時を少し過ぎている。 課長が、来月の展示会の段取りを話している。受付の机を、どこに置くか。 言えることが、一つあった。去年、入口の正面に置いた…
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全部を、一度に見ていた。
様 封筒が、四十枚ほど積んである。下期のはじめに、取引先へ出す案内状。宛名は手書きで、と言われた。 会社名。部署名。名前。最後に、「様」。 三十枚めを過ぎたあた…
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栞は、112ページに挟まったままだ。
電車の中で、鞄の底に文庫本を見つけた。 栞が、112ページに挟まっている。 いつから読んでいないのだろう。夏の初めだったような気がする。 開いてみる。登場人物の…
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スーパーの袋で、指が鬱血した日のこと。
買い物の帰り道だった。 牛乳2本と、ペットボトルと、夕飯の食材。 レジ袋が、指に食い込んでいた。 信号待ちで手を見ると、指先が白くなっていた。 鬱血している。 …
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美しいのは、数式通りにいかないからだった。
数式は、美しい。 入射角と反射角は等しい。 運動量は保存される。 摩擦係数が決まれば、球の減速率も決まる。 すべてが、論理的に成り立っている。 同じ条件で同じ力…
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テーブルの上で、脳が動いている。
その人は、じっとテーブルを見ていた。 腕を組んで、少し首をかしげて、球の配置を見渡している。 何秒だろう。 10秒か、15秒か。 やがて、ゆっくりとテーブルの反…
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同じ問題集を、3周した。それでも、模試の点は伸びなかった。
解ける。家で解けば、解ける。 同じ問題集を3周もやった。正答率は上がった。 ページをめくるたびに、「あ、これ知ってる」と思える問題が増えていった。 手応えはあっ…
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時間が、消えていた。
デスクに、資料が積まれていた。 締切は明後日。 会議が3つ入った。 メールは返せていない。 どこから手をつければいいのかわからないまま、また別のタスクが降ってき…
