肌は、眠っている間に作られる。——夜の過ごし方の話。

夜中に、目が覚めた。

時計を見ると、午前3時。
特に何かあったわけじゃない。
ただ、眠れなかった。

スマホを手に取って、また置いた。
SNSを開いて、また閉じた。
天井を見ながら、考えるともなく何かを考えていた。

そのうち、また眠れるだろうと思っていた。
でも気づいたら、カーテンの隙間が白くなっていた。

翌朝のこと

洗面台の前に立つ。

いつもと同じ洗顔をして、同じ化粧水をつけた。
でも、なんとなく違う。

肌がくすんでいる。
目の下が、重い。
ファンデーションを塗っても、どこかのっぺりしている。

「昨日より顔が違う気がする」——その感覚は、正しい。

眠りが浅い夜、身体の中ではストレスホルモン「コルチゾール」が過剰に分泌されている。
これがコラーゲンを分解し、皮脂のバランスを崩す。肌のバリア機能が低下して、水分が逃げていく。

たった一晩でも、翌朝の肌の水分量、ハリ、透明感が有意に低下することが科学的に確認されている。

スキンケアだけでは、追いつかない夜がある。

眠っている間に、何が起きているか

逆に、深く眠れた朝があります。

目覚ましより少し前に目が覚めて、なんとなく顔を触る。
昨日より、肌がやわらかい気がする。
洗顔後の鏡が、少し明るい。

気のせいじゃないと思います。

入眠後、最初に訪れる深い眠りの間に、成長ホルモンが集中して分泌されます。
日中に受けた紫外線や乾燥のダメージが修復され、コラーゲンやヒアルロン酸の生成が促される。
夜の間に、肌は静かに作り直されている。

さらに夜間に分泌されるメラトニンには、ビタミンCやEを超える抗酸化作用があることがわかっています。
シミやシワの原因となる活性酸素を除去し、老化を防ぐ。

眠ることは、最も価値のあるスキンケアかもしれない。
朝の鏡は、夜の過ごし方を映している。

眠れない夜の、原因のひとつ

ベッドに入って、20分が経った。

目を閉じているのに、頭の中が動いている。
今日の会議で言えなかったこと。
明日の締め切り。
返していないメッセージ——。

考えようとしているわけじゃない。
でも、止まらない。

一日中デスクに座っていると、身体は疲れていないのに、頭だけが興奮したままになります。
身体と頭の疲れが噛み合っていない——それが、眠れない夜の正体のひとつです。

身体を動かすと、眠りが変わる

運動した日の夜は、よく眠れる——そう感じたことはないでしょうか。

運動で上がった体温が下がるタイミングで、自然な眠気が生じます。
身体に適度な疲労が蓄積されることで、深いノンレム睡眠が長くなる。
頭だけが疲れていた状態が、身体ごと疲れることでバランスが取れていく。

ただし、寝る直前の激しい運動は逆効果です。
体温と心拍数が上がりすぎて、かえって眠れなくなる。

理想は、就寝の2時間以上前に、軽めの運動を終えておくこと。
激しくなくていい。
汗だくにならなくていい。
身体がほどよく動いた、という感覚があれば十分です。

仕事終わりの、ある夜

退勤して、まっすぐ帰らない日がある。

ビリヤード場に入ると、静かだった。
それぞれが自分のテーブルに向かっていて、誰もこちらを気にしていない。

台の周りをゆっくり歩いて、構えて、撞く。
一球のことだけを考えていると、今日あった細かいことが、少しずつ頭から抜けていく。

外れて苦笑いして、また構える。
気づくと、肩の力が抜けていた。

帰り道、空気が少し冷たかった。
なんとなく眠くなっていた。

その夜は、久しぶりに朝まで眠れた。

翌朝、鏡の前で思った。
今日は、なんだかいい感じ。

たぶん、気のせいじゃない。

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