美容習慣×ビリヤード
-
数えていたのは、落ちたほうだった。
四十七本 四十七本。ティッシュの上に並べて、もう一度、端から数える。やっぱり、四十七本。 シャワーを止めたあと、排水口の網から、指でつまみ上げたものだ。網の上で…
-
写真の中で、ちゃんと笑っていた。
写真 「送別会の写真、上げときます」グループのトークに、十二枚。 一枚ずつ、めくっていく。主役の先輩が、花束を抱えている。その隣で、自分が笑っている。口を大きく…
-
長く貼るほど、いいと思っていた。
二話め 画面の中で、二人が一本の傘の下に立っている。字幕が、台詞より少し遅れて出る。 エンディングが流れはじめたところで、袋の封を切った。シートマスクを広げて、…
-
すき間は、手でつくるものだった。
つり革。鞄の持ち手。コーヒーの紙カップ。エレベーターのボタン、ペン、マウス、スマホ。昼の定食の箸。また、スマホ。 夜、お風呂の前に指を開くと、関節が少し遅れてつ…
-
何も、変えていない。
お風呂上がり、洗面台の一番手前。いつもの美容液を、いつもの量だけ手に取る。 頬に触れた瞬間、ぴり、と小さく沁みた。 気のせいかと思って、もう一度なじませる。やっ…
-
続かなかったのは、美容液のせいじゃなかった。
洗面台の棚に、使いかけの美容液が3本ある。 どれも、最初の1週間は毎日使っていた。 2週目から、忘れる日が出てきた。 3週目には、もう手に取らなくなっていた。 …
-
甘いものをやめたのに、肌が変わらなかった。
甘いものを、やめた。 チョコレートも、アイスも、コンビニのスイーツも。 がんばって我慢した。 最初の1週間は、つらかった。 2週目から、少し慣れた。 3週目には…
-
褒められたのに、なんだか悔しかった。
取引先の女性に、「お肌綺麗ですね」と言われた。 ありがとうございます、と答えた。 でも、なんだかすっきりしなかった。 その人の肌を見た瞬間、その言葉を素直に受け…
-
時計の針は、戻せるのかもしれない。——リバースエイジングの話。
休日の夜だった。 TVでニュースを流しながら、雑誌をめくっていた。 特に何かを調べようとしていたわけじゃない。 ページをめくると、見慣れない言葉があった。 「リ…
-
塗るだけじゃ、足りなかった。——細胞の話をしよう。
同窓会の前夜だった。 クローゼットを開けて、また閉めた。 何度目かの洗顔をして、また鏡を見た。 久しぶりに会う人たちの顔が、頭に浮かんだ。 あの頃の自分と、今の…
