トロフィーは、この国に残った。——2026 フィリピンオープン。

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十月二十四日、マニラ首都圏のケソン市。
ショッピングモールの中に組まれた会場で、フィリピンオープンの決勝が撞かれた。

ヨハン・チュア、十一。
アントン・ラガ、九。

フィリピンの選手どうしの決勝。
この大会をフィリピンの選手が制するのは、初めてになる。


二度目の大会

フィリピンオープンは、昨年に始まったばかりの大会だ。
世界を回るワールド・ナインボール・ツアーで、メジャーに数えられている。

最初の年、トロフィーを掲げたのは、スペインのダビド・アルカイデ。
決勝は、十三対三だった。

フィリピンは、9ボールの世界チャンピオンを何人も送り出してきた国だ。
エフレン・レイズ。フランシスコ・ブスタマンテ。カルロ・ビアド。
その国で開かれる大会のトロフィーが、一年目は、海を渡っていった。

二年目の今年、準決勝に残った四人は、全員がフィリピンの選手になった。
世界ランキングの一位も、全米オープンの覇者も、そこまでに大会を終えている。

十対一、十対二

チュアの準々決勝の相手は、世界チャンピオンのカルロ・ビアド。
十ラック先取で、十対一。

準決勝は、ベルニー・レガラリオに、十対二。
先に二つを取られている。
そこからの十一ラックのうち、十を取った。

日本からは、杉山功起と内垣建一が出場した。
杉山は一回戦を勝ち、六十四人の山へ進んでいる。

五対〇から

決勝は、十一ラック先取。
チュアが、最初の五つを続けて取った。

そこから、ラガが追いはじめる。
五対三。
六対四。
七対六。
十対八。
そして、十対九。

あと一つで並ぶところまで、ラガは来ていた。
最後のラックは、チュアが取り切った。
地元の観客の声が、会場を満たしたと伝えられている。

チュアにとって、メジャーでの二つめの優勝。
自分の国でのメジャーは、これが初めてになる。

ほっとしている、と言った

試合のあと、チュアの最初の言葉は、こうだった。
「言葉にならない。ほっとしている」

自分の国でメジャーを勝つのは、ずっと夢だった、とも話している。
決勝の相手については、「アントンは、すばらしい選手だ」。

知っている人の前で

いつもの店の、いつもの台。
閉店前の、最後の一ゲーム。
ふと顔を上げると、常連の何人かが、手を止めてこちらを見ている。

誰も、何も言わない。
それなのに、知らない人に見られるより、少しだけ、手が固くなる。
外せば、明日もこの店に来る。
入れても、明日もこの店に来る。

最後の球が沈む。
誰かが、小さく手を叩く。
まず出てくるのは、長い息だった。


金色の、フィリピンの太陽。
大会のトロフィーは、「ゴールデン・フィリピノ・サン」と呼ばれている。

二度目の秋。
トロフィーは、この国に残った。

決勝の映像

World Nineball Tour 公式YouTube「Johann Chua vs Anton Raga | FINAL | Philippines Open Highlights (2026)」

結果の出典

– On the hill!「2026 フィリピンオープン:優勝はヨハン・チュア!」 https://www.onthehill.jp/archives/109871
– World Nineball Tour「Chua Crowned King Of The Philippines In All-Filipino Final Thriller」(2026年10月24日) https://worldnineballtour.com/news/chua-crowned-king-of-the-philippines-in-all-filipino-final-thriller/
– World Nineball Tour「Filipino Final Four Set As Home Heroes Topple The World’s Best」(2026年10月23日) https://worldnineballtour.com/major/filipino-final-four-set-as-home-heroes-topple-the-worlds-best/
– AZBilliards「David Alcaide Crowned Inaugural LiveSB.io Philippines Open Champion」(2025年) https://www.azbilliards.com/?p=244811

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