文化×ビリヤード
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次の柱まで、歩く。
夕方 長い竿の先に、小さな火がついている。法被を着た人が、それを掲げて、通りを歩いてくる。柱の前で立ち止まり、竿を上へ伸ばす。ガラスの中に、火が移る。竿を下ろし…
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あと少しで、満ちる。
十五夜の月だけを見て、十三夜の月を見ないのは、縁起が悪いとされてきた。それを、片見月と呼ぶのだという。 十三夜は、秋の二度めの月見。旧暦の九月十三日の夜に、栗や…
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空けたところに、水がたまる。
横浜市は、山梨県に森を持っている。道志村という、山あいの村。村の広さの、三分の一あまりが、横浜の水道の森だ。 大正五年に、山梨県から譲り受けた。それから百年あま…
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二本だけ、残っていた。
小さな桃だった。手のひらに、すっぽり収まるくらいの。六月の半ば、綱島の直売所で買った。夏の桃より、ひと月は早い。皮をむくと、汁が手首のほうまでつたっていく。甘さ…
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何もない場所に、先に駅が建った。
1964年、10月1日。東京と新大阪のあいだを、はじめての新幹線が走った。東京オリンピックの開会式は、その九日後。 その途中に、新しい駅が一つできた。横浜の北の…
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自分の手で、やるしかなかった。
不快なことは、できるだけ遠ざけたい。 それは、たぶん誰でもそうだと思う。 暑ければエアコンをつける。 面倒な手続きは代行してもらう。 言いにくいことは、メッセー…
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何も起きなかった、いい一日だった。
目が覚めた。カーテンの隙間から、白い光が細く差し込んでいた。 まだ誰も起きていない。 布団の中で、しばらくそのまま天井を見ていた。 起き上がって、キッチンへ行く…
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あの日、横浜は燃えた。それでも、この街は立ち上がった。
1923年9月1日、午前11時58分。 横浜の街が、揺れた。 昼食の支度をしていた家々から、一斉に火が上がった。 わずか10平方キロメートルの市街地で、177か…
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数式を知らなくても、球は転がっていた。
アトラスは、天空を支えている。 両腕で、世界の重さを引き受けている。 「なぜ、空は落ちてこないのか。」 古代の人々は、この問いに数式で答えなかった。 代わりに、…
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テーブルの上の、キュビスム。
ピカソは、正面から見た顔と横から見た顔を、一枚の絵に描いた。 それまでの絵画は、一つの視点から世界を切り取っていた。 ピカソはそのルールを壊した。 同時に存在す…
