Sporting Yokohama
海の向こうから来た人たちが、丘の上で馬を走らせ、公園でボールを蹴り、テニスのコートを張りました。
それから百六十年。野球、サッカー、ラグビー、バスケットボール、そしてボクシング。
横浜には、いまも週末ごとに、スタンドを埋める人たちの声が響いています。
この街のスポーツの歩みと、いま観に行ける場所をご案内します。
港から始まったスポーツWhere It Began
開港したばかりの横浜で、居留地の外国人たちは、故郷のスポーツを持ち込みました。走る場所も、競う相手も、道具もない土地で、自分たちの手でクラブをつくり、グラウンドを整えたのです。
日本の人たちは、はじめはその姿を遠くから眺めていました。やがて学生たちが挑み、敗れ、また挑む。横浜のスポーツの歴史は、海の向こうの人たちと、ここで暮らす人たちが、同じグラウンドに立つまでの物語でもあります。
競馬とラグビー1866年
1866(慶応2)年、根岸の丘に日本で初めての洋式競馬場がつくられました。同じ年、居留地の外国人たちが「横浜フットボールクラブ」をつくっています。日本ラグビーフットボール協会は、これをアジアで確かめられたいちばん古いラグビークラブとしています。
1901(明治34)年12月7日、横浜公園の運動場で、慶應義塾の学生たちが居留地のクラブ、YC&AC(横浜カントリー・アンド・アスレチック・クラブ)と戦いました。結果は5対41。慶應が初めて勝ったのは、7年後の秋のことでした。
- いま:根岸競馬場の一等馬見所(1929年)は、根岸森林公園から眺められます。YC&ACは1912年に中区矢口台へ移り、いまもその地にあります。
山手のテニス1878年
1870年に居留外国人の手で開かれた山手公園に、1878(明治11)年、外国人の女性たちのクラブがテニスコートを設けました。文化遺産オンラインは、これを「日本におけるテニス発祥の地」と記しています。
- いま:山手公園(国の名勝)の中には「テニス発祥記念館」があります。JR石川町駅南口から徒歩10分。
学生たちの挑戦1896年・1904年
1896(明治29)年5月、いまの横浜公園の運動場で、第一高等学校の野球部が、横浜に住む外国人のチームと戦い、29対4で勝ちました。日本で初めての野球の国際試合といわれています。
サッカーの日本での始まりは東京ですが、1904(明治37)年2月、東京高等師範学校がYC&ACに挑み、0対9で敗れています。日本サッカー協会は、これを日本で行われた初めての外国チームとの試合としています。
ハマスタと野球Baseball
関内駅のすぐそば、横浜公園の中に、横浜スタジアムがあります。地元の人たちは「ハマスタ」と呼びます。この場所の野球の歴史は、球場が建つずっと前から始まっていました。
関東大震災からの復興で、1929(昭和4)年、横浜公園に球場ができました。1934(昭和9)年11月18日、ベーブ・ルースやルー・ゲーリックら米国大リーグのオールスターチームがここで全日本チームと戦い、21対4で勝っています。
戦後、球場は接収されて「ゲーリック球場」と呼ばれました。照明の塔が建ち、1948(昭和23)年8月17日、巨人対中日の試合で、日本のプロ野球で初めてのナイトゲームが開かれます。返還ののちは「平和球場」として親しまれ、1978(昭和53)年、横浜スタジアムに生まれ変わりました。
2021年の東京オリンピックでは、ここで野球とソフトボールが行われ、どちらも決勝で日本が米国を破って金メダルを手にしました。
横浜DeNAベイスターズYokohama DeNA BayStars
1949年に生まれた大洋ホエールズが、1978年に川崎から横浜スタジアムへ移り、「横浜大洋ホエールズ」となりました。1992年に「横浜ベイスターズ」、2011年に「横浜DeNAベイスターズ」へ。日本一は1960年、1998年、そして26年ぶりの2024年の3度です。
- 横浜スタジアム:収容35,363人(プロ野球のときは最大34,031人)。JR関内駅南口から徒歩2分、みなとみらい線 日本大通り駅から徒歩3分。駐車場はありません。
- チケット:横浜DeNAベイスターズ 公式サイトで。
三つの決勝のスタジアムと、フットボールFootball
新横浜の日産スタジアム(正式名称は横浜国際総合競技場)は、1998年3月に使われ始めた、約7万2千席のスタジアムです。
2002年6月30日、ここでFIFAワールドカップの決勝が開かれ、ブラジルが2対0でドイツを破りました。アジアで初めてのワールドカップ決勝です。2019年11月2日には、ラグビーワールドカップの決勝で南アフリカが32対12でイングランドを破り、70,103人がスタンドを埋めました。そして2021年、東京オリンピックの男子サッカーの決勝。
オリンピック、サッカーのワールドカップ、ラグビーのワールドカップ。三つの決勝の会場となった、初めてのスタジアムだと横浜市は記しています。
横浜F・マリノスYokohama F. Marinos
1972年に生まれた日産自動車のサッカー部を源流に、1993年のJリーグの始まりから戦うクラブです。1999年、同じ横浜の横浜フリューゲルスと一つになり、いまの「横浜F・マリノス」になりました。J1の優勝は1995、2003、2004、2019、2022年の5度。ホームは日産スタジアムとニッパツ三ツ沢球技場です。
横浜FCYokohama FC
横浜フリューゲルスがなくなったあと、1998年12月25日、市民の力で生まれたクラブです。エンブレムの青いリボンは、フリューゲルスを残そうとしたサポーターたちが身につけたリボンに由来します。ホームのニッパツ三ツ沢球技場を、クラブは「夢の劇場」と呼んでいます。三浦知良選手がJ1の最年長出場の記録をつくったのも、このクラブでした。
まだまだある、横浜のフットボールAnd More
- Y.S.C.C.横浜:本牧を拠点に、1986年から子どもたちとともに歩んできた地域のクラブです。サッカーは日本フットボールリーグ(JFL)、フットサルはFリーグで戦っています。
- 女子サッカー:ニッパツ横浜FCシーガルズ(戸塚区)と日体大SMG横浜が、なでしこリーグ1部で戦っています。両チームの対戦は「なでしこ横浜ダービー」と呼ばれます。
- ラグビー:横浜キヤノンイーグルスは、横浜市をホストエリアとするリーグワンのチームです。日産スタジアムとニッパツ三ツ沢球技場で試合を開きます。戸塚区を拠点にする女子のYOKOHAMA TKMもあります。
- ニッパツ三ツ沢球技場:1964年の東京オリンピックでサッカーの会場になった球技場です。収容15,454人。横浜駅西口からバスで「三ツ沢総合グランド入口」下車、徒歩2分。
- 日産スタジアム:新横浜駅から徒歩12〜14分、JR横浜線 小机駅から徒歩7分。三つの決勝の記録を展示するスタジアムツアーもあります。
アリーナの夜Arenas
横浜ビー・コルセアーズと、横浜BUNTAIBasketball
チーム名のコルセアーズは「海賊たち」の意味。ロゴの海賊帽の縁と溝には「ハ」と「マ」の字が隠れています。2022-23シーズン、河村勇輝選手がB.LEAGUEの最優秀選手(MVP)と最優秀新人賞に選ばれ、チームは初めてチャンピオンシップへ進みました。河村選手はその後、海を渡り、アメリカのプロの舞台に挑みました。
2026-27シーズン、チームは新しい最上位リーグ「B.PREMIER」に加わり、ホームを関内の横浜BUNTAIへ移しました。かつての横浜文化体育館「文体」の跡に、2024年に開いた約5,000席のアリーナです。2階へ上がる階段には、横浜市電の敷石が使われています。
- 横浜BUNTAI:市営地下鉄 伊勢佐木長者町駅から徒歩4分、JR関内駅南口から徒歩6分。
- チケット:横浜ビー・コルセアーズ 公式サイトで。
- 横浜武道館:横浜BUNTAIのすぐそばのサブアリーナです。横浜エクセレンス(バスケットボール)やY.S.C.C.横浜のフットサルの試合が開かれます。
- 横浜アリーナ(新横浜):1989年に開業した、最大17,000人のアリーナ。ボクシングや格闘技の大きな大会も開かれてきました。新横浜駅から徒歩4〜5分。
氷と水の上でIce & Water
KOSÉ新横浜スケートセンターIce Rink
1990年10月、新横浜にスケートリンクが生まれました。「新横浜プリンスホテル スケートセンター」の名で、となりのホテルより先に開いたリンクです。はじめはアイスホッケーの国土計画(のちのSEIBUプリンス ラビッツ)が本拠地にしていました。名前を変えながら、2017年からは「KOSÉ新横浜スケートセンター」として親しまれています。
60m×30mの国際規格のリンクに、立ち見を含めて2,446人。季節を問わず氷が張られ、フィギュアスケートの大会や、アイスショー「プリンスアイスワールド」の横浜公演が開かれます。アイスホッケーの横浜GRITSのホームでもあります。選手たちが仕事と競技を両立させているクラブです。
- 滑る:一般の人も滑れます。大会などで貸し切りの日も多いので、公式サイトの営業日をお確かめください。
- 訪ね方:市営地下鉄・相鉄・東急の新横浜駅10番出口から徒歩5分、JR新横浜駅北口から徒歩8分。
- これから:2027年1〜2月の国民スポーツ大会冬季大会で、アイスホッケーの会場になります。
横浜国際プールWater Arena
港北ニュータウンの一角、都筑区北山田に、1998年7月、「WATER ARENA」の愛称をもつ横浜国際プールが開きました。50m×10コースの国際公認のメインプールは、床が動いて、水深を0mから3.5mまで変えられます。
2002年8月、ここでパンパシフィック水泳選手権が開かれました。横浜市はこの大会を、国際プールで初めての競泳の国際大会として、その年の「横浜10大ニュース」に挙げています。2004年と2006年にはシンクロナイズドスイミング、2016年には水球の国際大会も開かれました。
冬になると、プールの上に床が張られ、バスケットボールのコートが4面とれるスポーツフロアに変わります。横浜ビー・コルセアーズも、2025-26シーズンまで、ここをホームにしていました。
横浜市は、この施設の再整備を計画しています。メインプールをやめて一年じゅう使えるアリーナにし、新たに25mのプールを造る計画で、2031年3月のリニューアルオープンを目指しています。世界の泳ぎ手たちが記録を競った50mのプールは、いずれ姿を変えます。泳ぎに、観に行くなら、いまのうちに。
- 横浜国際プール:観客席は約4,000席。市営地下鉄グリーンライン 北山田駅から徒歩5分。
リングの上の横浜Boxing
横浜駅西口の北、神奈川区鶴屋町に大橋ボクシングジムがあります。会長の大橋秀行さんは、1990年にWBC、1992年にWBAの世界ストロー級王者となった元世界チャンピオン。引退ののち、地元の横浜で後進を育ててきました。
そのジムから、井上尚弥チャンピオンが生まれました。2022年にバンタム級、2023年にスーパーバンタム級で、主要4団体の王座を一つにまとめています。2018年10月7日、横浜アリーナでの防衛戦では、わずか1回1分10秒で相手を倒しました。2026年5月には東京ドームで中谷潤人選手に判定で勝ち、4団体の王座を守りました。
弟の井上拓真選手はWBC世界バンタム級の王者。2026年9月27日、那須川天心選手との防衛戦を判定で制しました。その25日前、9月2日には、横浜BUNTAIで同じジムの石井武志選手がWBA世界ミニマム級の王座決定戦に臨み、1回でノックアウト勝ち。会長の大橋さん、元王者の八重樫東さんに続いて、同じ階級(大橋さんの時代のストロー級は、いまのミニマム級)のWBAのベルトを巻きました。
横浜のジムからは、ほかにも世界王者が生まれています。鶴見の横浜光ジムの畑山隆則さん、新井田豊さん、李冽理さん。都筑の花形ジムの星野敬太郎さん。1974年10月には、横浜協栄ジムの花形進さんが、横浜文化体育館で世界フライ級の王座をつかんでいます。
- 試合を観る:興行の日程は、各ジム・プロモーションの公式サイトや、日本ボクシングコミッション(JBC)の日程でお確かめください。
街を走るOn the Road
横浜マラソン例年10月下旬〜11月はじめ
1980年、市民の署名が10万3千あまり集まり、翌1981年11月29日、第1回の横浜マラソンが開かれました。山下公園の前を走り出した2,081人から始まった大会は、2015年にフルマラソンになり、いまは2万人を超える人が走ります。ふだんは車しか走れない首都高速湾岸線を、自分の足で走れるのもこの大会ならでは。2026年は10月25日です。
箱根駅伝毎年1月2日・3日
正月の箱根駅伝は、横浜市内を走り抜けます。鶴見中継所でたすきを受けたエースたちが、「花の2区」で横浜駅前、保土ケ谷を抜け、権太坂を越えて戸塚中継所へ。復路でも、戸塚と鶴見でたすきがつながれます。沿道で旗を振る人たちの姿も、横浜のお正月の風景です。
世界トライアスロン横浜大会例年5月
2009年、開港150周年を記念して始まった大会です。山下公園がスタートとゴールになり、海を泳ぎ、港の街を自転車と足で駆け抜けます。観覧は無料。横浜市は、開港の月の風物詩の一つとしています。
Our Suggestion
試合の前と後に、街を歩く。
ハマスタのナイターなら、昼は山下公園から中華街へ。試合のあとは、野毛で一杯。日産スタジアムへは、新横浜駅だけでなく、JR横浜線の小机駅から歩いて向かうのもおすすめです。勝った日も負けた日も、この街には、語り合える店があります。
※実行委員会からのご提案です。試合の日は駅や道が混み合います。公共の交通機関でお出かけください。
そして、ビリヤードもOur Game
港から始まった多くのスポーツと同じように、ビリヤードもまた、海の向こうから来て、この国に根づいた競技です。私たちYokohama Open実行委員会は、この街で、ビリヤードの大会を開いています。
ハマスタの歓声や、アリーナの熱気には、まだ遠く及びません。それでも、横浜の数あるスポーツの一つとして、いつか多くの人に観てもらえる大会を育てていきたいと考えています。挑むのは、ビリヤードの未来。創造するのは、横浜のレガシー。
撞くPlay
観戦のあとに、キューを握るのもまた一興です。関内・伊勢佐木町に、ビリヤード場が集まっています。関内・伊勢佐木町のページへ →
エリアから探すAreas
出典(確認日:2026年10月7日)
- 横浜市記者発表「旧根岸競馬場一等馬見所」(2025年1月22日)
- 日本ラグビーフットボール協会 日本ラグビー デジタルミュージアム「Japanese Rugby before Keio Established its Rugby Club」
- YC&AC「A History of Yokohama Country & Athletic Club」
- 文化遺産オンライン「山手公園」、横浜市「山手公園(中区)」
- 日本サッカー協会「JFAの歴史」
- 文化遺産オンライン「横浜公園」、横浜市体育協会 広報誌 vol.50「BASEBALLの降り立った街・横浜」、日本野球機構(2019年9月27日)
- 横浜DeNAベイスターズ「ヒストリー」、横浜スタジアム「施設概要」・「アクセス」
- 横浜市「東京2020オリンピック・パラリンピック 横浜開催」
- 日産スタジアム「施設概要」・「Final Stadium×3」・「アクセス」
- 横浜市記者発表(2022年3月22日、横浜国際総合競技場)、横浜市「ラグビーワールドカップ2019™」
- FIFA「Titans meet in Yokohama」
- 横浜F・マリノス「クラブヒストリー」、横浜FC「クラブ情報」・「ヒストリー」、Y.S.C.C.横浜「クラブについて」、ニッパツ横浜FCシーガルズ「クラブ概要」
- 横浜キヤノンイーグルス「ヒストリー」、YOKOHAMA TKM 公式サイト
- 三ツ沢公園(横浜市緑の協会)「スポーツ施設」、横浜市「三ツ沢公園(神奈川区)」、横浜FC「アクセスマップ」
- 横浜ビー・コルセアーズ「チーム」、B.LEAGUE「アワード」、横浜市中区記者発表(2026年8月18日)、NBA G League(2025年7月19日)
- 横浜BUNTAI 公式サイト、『広報よこはま』2024年5月号、横浜エクセレンス「アリーナ」、Y.S.C.C.横浜フットサル
- 横浜アリーナ「横浜アリーナについて」・「アクセス」、横浜GRITS「ABOUT」、横浜市「横浜スポーツパートナーズ」
- 新横浜プリンスホテル「スケートセンター開業30周年」、KOSÉ新横浜スケートセンター「施設」・「アクセス」、神奈川県(国民スポーツ大会冬季大会 アイスホッケー競技会)
- 横浜国際プール「施設概要」・「メインプール」・「スポーツフロア」・「アクセス」、JOC(2002年8月13日、パンパシフィック水泳選手権)、横浜市「横浜10大ニュース」(平成14年)、横浜市「横浜国際プール再整備事業計画」、横浜市「横浜国際プール再整備事業」
- 大橋ボクシングジム「ジム案内」・「選手紹介」、日本ボクシングコミッション「加盟ジム一覧」、WBA(2026年9月2日、石井武志)
- 報道:神奈川新聞(2018年10月、横浜アリーナ)、デイリースポーツ(2026年5月2日)・(2026年9月27日)・「日本ジム所属ボクシング歴代世界王者」、Boxing News(横浜文化体育館の世界戦)
- 横浜マラソン2026「大会要項」、『広報よこはま』2023年10月号「市民の熱い想いで誕生したマラソン大会」
- 箱根駅伝 公式サイト「コース」・「箱根駅伝について」
- 横浜市記者発表「2026世界トライアスロン横浜大会」(2026年5月12日)、横浜市観光情報
年や記録は、横浜市、各球団・クラブ、リーグ、競技団体の公式の情報をもとにしています。ボクシングの試合の結果など、一部は新聞などの報道によります。記録・所属・リーグは出典の時点のもので、所属リーグや会場は変わることがあります。試合の日程・チケットは、各チームの公式サイトでお確かめください。
